HPLCとは?
HPLCは、混合物に含まれる各成分を分離し、それぞれがどれくらい含まれているかを定量し、さらに各成分が何であるかを特定するのに役立ちます。
HPLCは、幅広い有機化合物を分析する際に最も適した手法です。揮発性化合物(VOCやSVOC)は通常GCやGC-MSで分析されますが、HPLCは非揮発性物質や熱に不安定な分子を含む、より多様な混合物に適用できます。その利点には、高い汎用性、感度、そして非常に複雑な混合物にも対応できる点が挙げられます。
HPLCはどのように動作する?
HPLCによる分離は、試料中の各化合物が移動相(溶離液)および固定相に対して持つ親和性の違いに基づいて行われます。試料成分の分子とカラム内の充填剤との間に生じる特定の分子間相互作用により、各成分は一時的に固定相に保持されます。
移動相よりも固定相との相互作用が強いほど、その成分は固定相に長く留まり、カラム内に滞留する時間が長くなり、結果として保持時間(Rf)は長くなります。HPLCの高い分離能力は、移動相・固定相の組み合わせを幅広く選択できる点にあり、これによって分離条件を細かく調整することが可能です。
HPLCはどのような用途に使われる?
HPLCは非常に強力で汎用性の高いクロマトグラフィー技術であり、以下のような分野で広く利用されています。
医薬品
バイオ分析
食品・飲料
臨床検査
法科学
環境分析
医薬品開発研究所
たとえば医療分野では、HPLCを用いて生体試料中の成分や濃度を測定できます。尿中の薬物分析や、血清中のビタミン濃度測定などがその例です。
HPLCの主な種類
順相HPLC
順相クロマトグラフィーでは、固定相は非極性、移動相は極性です。そのため、試料中の非極性物質は移動相との親和性が高く、比較的速く溶出します。
逆相HPLC
逆相HPLCは、順相とは逆の条件を用います。水や極性有機溶媒などの極性移動相と、非極性・疎水性の固定相を組み合わせます。
逆相HPLCは、溶媒として水を使用するため、大気中の水分吸収による保持時間の変動リスクが低く、順相より好まれることが多い手法です。また、疎水性固定相は、疎水性・親水性・イオン性・電離性化合物など幅広い成分の分離に対応できるため、柔軟性が高いとされています。
イソクラティック溶離とグラジエント溶離
イソクラティック溶離とは、移動相の組成を一定に保ったまま分析を行う方法です。一方、グラジエント溶離では、分析中に移動相の組成を変化させます。
グラジエント溶離には以下の利点があります:
クロマトグラム全体でピーク間隔が均一になりやすい
ピーク幅が揃いやすく、分離が向上
分析時間を短縮できる場合がある
一方、イソクラティック溶離では、分析初期にピークが密集し、後半ではピークが広がりやすく、分離能が低下することがあります。
ただし、グラジエント溶離は操作や制御がより複雑なため、装置要件が比較的シンプルなイソクラティック溶離が好まれる場合も多くあります。
純水はHPLCにどのような影響を与えるか?
HPLCは水の純度に極めて大きく依存します。不純な水を用いて溶離液、ブランク、試料、標準液を調製すると、汚染が持ち込まれ、分離能、積分精度、ベースラインなどのクロマトグラフィー性能が低下します。
HPLCでは水が最も大量に使用される「試薬」であるため、分析感度に適した純度の水を選択することが極めて重要です。
どの水グレードを使用すべきか?
一般的な感度のHPLC用途では Type II+ 水 を推奨します。一方、高感度用途では以下の特性を持つ 超純水 Type I+ を使用する必要があります。
比抵抗値:18 MΩ・cm 以上
TOC値:2 ppb 未満
細菌:1 CFU/mL 未満
エンドトキシン:0.03 EU/mL 未満
ポンプ
HPLCがグラジエントシステムの場合、低圧グラジエント(LPG) または 高圧グラジエント(HPG) の方式があります。
HPG:各溶媒を個別のポンプで送り、吐出側で混合
LPG:吸引側で溶媒を混合
カラム
カラムはHPLCシステムの中核であり、試料成分の分離を担います。実験目的に応じてさまざまな種類のカラムが使用され、逆相・順相など用途に応じた充填剤が選択されます。
検出器
検出器は、カラムから溶出した各成分の時間と量を測定します。組成の変化は電気信号として検出され、その信号をもとにクロマトグラムが作成されます。
クロマトグラフィーのパラメータ
クロマトグラフィー中、検出器からの電気信号はコンピュータによってクロマトグラムに変換されます。各ピークは、移動相によってカラムを通過した分析対象物(アナライト)を示します。
ピークの保持時間や、ピーク面積(濃度に相当)などから、試料中の成分情報を得ることができます。
分離能(分解能)も重要な指標です。 2つのピーク間の分解能が1.5以上 であれば、ピークの高さや幅を正確に測定できる十分な分離が得られているとされます。
分解能は基本分解能方程式を用いて算出され、以下のパラメータが関係します:
理論段数(効率因子:N)
保持係数(k’)
分離係数(α)
溶媒の変更や温度調整などによりこれらのパラメータを制御し、分解能を向上させることが可能です。
エルガ・ラボウォーターが提供する純水・超純水製造装置
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たとえば、卓上型の PURELAB Chorus 1 Analytical Research(使用直前供給型)は、以下の水質を安定して供給します:
比抵抗値:18.2 MΩ・cm(Type I / I+)
TOC値:2 ppb 未満
これらはすべてのHPLC用途に適しています。
