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新鮮なラボ用水を用意すべきか?市販のボトル入り純水か? Part 4

2025/09/26

Dr Paul Whitehead

研究室では、純水や超純水は当たり前のように使われており、しばしばその存在が見過ごされています。しかし、私たちは水の入手方法には大きく分けて2つあることを知っています。

それは「ボトル入りの脱イオン水(パッケージ水)」か、「研究室内に設置された水精製システム」です。あなたの研究室にとって、どちらのタイプの水が最適で、最も望ましい選択肢か、ご存じですか?

研究室内での純水・超純水製造

オンサイト型の水精製システムについては、ウェブ上でも多く取り上げられています。これらのシステムに搭載された技術は、水道水に含まれるほとんどすべての不純物(ただし溶存酸素と窒素を除く)を除去することができます。

システムの稼働状況は常に監視されており、精製水が目的の用途に適していることが確認された後も、比抵抗値、全有機炭素(TOC値)などの主要なパラメーターを継続的にトレンド分析することで、パフォーマンスが適切に維持されていることが保証されます。

精製水を循環させて再び装置に通すような、適切に設計されたシステムであれば、汚染のリスクを最小限に抑えることができ、水の純度も安定します。

そして、定期的なモニタリングによって、実際の純度をしっかり確認することができます。一方で、システムに問題が生じる主な原因は、設計が不十分だったり、必要なメンテナンスを怠っていたりするケースがほとんどです。

ボトル入り水とオンサイト水精製のコスト比較*

目的の用途

1リットルあたりの価格 (米ドル)


ボトル入り水

オンサイト型(10 L/日)**

オンサイト型(50 L/日)**

一般用途

1.5 -10

0.75

0.12

HPLC

20-30

1.4

0.25

LC-MS

40-80

1.4

0.25

ヌクレアーゼフリー

80-500

1.75

0.31

超微量金属分析

100-250

1.75

0.31

PCR

150-500

1.75

0.31

*このデータは2015年時点のものであり、ウェブサイトおよび主要サプライヤーのカタログから取得した情報に基づいています。

**オンサイト型の水処理コストには、導入時の費用と運用費が含まれます。

オンサイト型のシステムで、ボトル入り水の仕様を満たす、もしくはそれを上回る水質の水を精製する場合の1リットルあたりの総合コストは、使用量が少ない場合で約1.40ドル、1日あたり50リットル以上使用する場合には25セント未満まで下がります。

研究室における精製水のニーズの大半は、オンサイト型の水精製システムで最適に対応できる

研究室で必要とされる純水・超純水のほとんどは、オンサイト型(水精製システムを設置した施設内)での水精製システムによって最適にまかなうことができます。とはいえ、パッケージ水(ボトル入り水)タイプの精製水にも役割はあり、特に少量の水を特定の用途で使用する場合などには有用です。

一方で、より一般的な用途や幅広い分析作業、大量の水を必要とする場合には、オンサイト型の水精製システムを導入することで、継続的な性能モニタリングに基づいた安定した水の供給が可能になります。

ボトル入りの水を使う場合は、アプリケーションごとやバッチごと、さらには容器ごとに水の適合性を毎回確認する必要があり、そのコストやリスクは想像以上に大きくなります。このような負担を考慮すれば、オンサイト型の水精製システムの導入によってそれらのコストを十分に相殺することができるのです。

さらに、少量利用の場合を除けば、パッケージ水と比較して大幅なコスト削減が見込めるだけでなく、オンサイト型の水精製システムの最大の利点は、「いつでもすぐに、水質を信頼できる精製水が使える」という点にあります。精製される水の水質は常にモニタリングされているため、ユーザーは安心してその水を実験に使用することができます。

著者紹介:ポール・ホワイトヘッド博士

オックスフォード大学で化学の学士号を取得後、産業応用分野での化学研究にキャリアを進めました。ロンドンのインペリアル・カレッジで、マイクロ波誘導プラズマ検出器の開発により博士号を取得。ジョンソン・マッセイ研究技術センターにて分析サポートチームの管理を担当し、自動車排気触媒や燃料電池などの貴金属分析に携わりました。その後、ELGA LabWaterのR&D部門にて水精製技術の導入と開発を行い、現在は同社のコンサルタントを務めています。

研究室に最適な水精製システムについて話してみたい方は、ぜひエルガ・ラボウォーターにご連絡ください。