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野村化学株式会社
高精度分析の鍵は「水」――HPLCカラム開発を支えるエルガ・ラボウォーターの超純水

野村化学株式会社は、HPLC用シリカゲルカラムの専業メーカーとして、原料であるシリカゲルの段階から厳密な品質管理を実施。とくに創薬や食品分野の精密分析で高い信頼を得ています。1979年の創業以来、国内外の製薬企業に支持され、近年では海外市場への展開も加速。他社の追随を許さないカラム開発を、エルガ・ラボウォーターの超純水製造装置が支えていました。
1. 創薬イノベーションを支えるカラム開発

従来のHPLCに比べ、より高速かつ高い分離能を発揮するUHPLC(超高速液体クロマトグラフィー)に対応した、野村化学株式会社製カラム「FlexFire C30」。
野村化学は、研究分野で広く用いられているHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で欠かせない、シリカゲルカラムの専業メーカーです。原料であるシリカゲル、充填剤合成、カラム充填の各工程で厳しい検査基準を設けており、徹底した品質管理を行っています。一貫生産により他社の追随を許さない高品質、柔軟性を維持してきました。
カラムは創薬の最前線を映す存在でもあります。野村化学では、低分子化合物から抗体、そして核酸と、創薬の進化に合わせて自社技術を磨き続けています。
「新たな分析対象が出てくるたびに、最適なカラムが必要になります。時にはまだ見ぬニーズを先回りして、独自技術で提案することも。我々にしかできない開発があると自負しています」(鶴見社長)
「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、弊社では関連する化合物の分析方法やカラムの開発にいち早く着手しました。有効な治療薬が開発された場合に必要とされる品質管理を想定、綿密な情報収集を行い、確実に検出できるカラムの設計に心を砕きました。」(堀切氏)
2. 高精度分析に欠かせない「水」の品質

PURELAB Chorus 1 Analytical Research:残存有機物を TOC 1~3 ppbまで低減化し、微量有機物分析・微量元素分析に最適なモデル
「コーポレートカラーでもあり、大好きな赤色のモデルを選べたのも決め手となりました。一日の大半を過ごす研究室で、鮮やかな赤色が目に入ると気分が良くなります」(堀切氏)
高感度分析が主流となった今、水の質が結果を大きく左右します。とくにHPLCやMS(質量分析)分析では、微量な不純物でも目的のピークをかき消すリスクがあります。野村化学ではエルガ・ラボウォーターの超純水製造装置を2台導入し、微量分析から器具洗浄まで全工程で使用。安定した水質とシンプルなメンテナンス性が、業務効率と分析精度の両立を実現しています。
突発的な大量使用に備えて、オプションで1次水(RO水)を貯水するタンクを追加。タンク内の水は循環システムによって水質が維持されます。また、採水直前のポイントで水質を測定しインジケーターに表示されるため、実際に使用する水との乖離(かいり)がありません。
超純水製造装置は、安定稼働と保守のしやすさが研究効率を大きく左右します。以前は他社製品も導入していましたが、消耗品のコストやエラーに悩まされていたといいます。
「他社製品は消耗品コストの高さや、部品納品までのリードタイムが懸念点でした。そのうえ、カートリッジを交換してもセンサーが読み取れず採水ができない、ということも。一方で、エルガ・ラボウォーターはプリンターのインク交換のように手軽で済み、コストとメンテナンス性、すべてにおいて優れています。すべてエルガ・ラボウォーター製品に切り替えました」(堀切氏)

「当社ではPURELAB Chorus 1 Analytical Researchと PURELAB flex UVの2台を使用、現在まで機器に由来するトラブルは全くありません。年に一度のタイミングで代理店に依頼してメンテナンスをしています。対応は迅速で、修理が必要な際もスケジュールを始めに提示してくれるので、製造スケジュール等への影響を最小限に抑えられて助かっています」(鶴見社長)
3.祖父が築いた技術を次の時代へ
野村化学は2019年に新世代カラム「FlexFireシリーズ」を、2023年に既存製品のアップデートカラム「FlexFire Fusionシリーズ」を開発。耐久性と汎用性に加え、ユーザーのニーズに応えて特異的な吸着を示す化合物に対応したメタルフリー仕様もそろえました。同時に、新規開発だけでなく既存ユーザーの分析環境も大切にする──鶴見氏が2代目を継承する際に決意した、野村化学の開発姿勢です。
「新しいものを作るだけでは既存の顧客を取り残してしまいます。過去のデータや条件を重視するユーザーの立場を理解しなければ、ユーザーは離れてしまうでしょう。だからこそ、初代社長である祖父から受け継いだ技術を基に、互換性や再現性に最大限配慮したカラムを設計し生産体制を整えています。『今まで通り使える』ことが信頼につながると考えています」(鶴見社長)
「野村化学は単にカラムを販売するだけでなく、顧客の分析プロセス全体をサポートし、分析結果の信頼性と再現性を高めるための具体的な根拠と情報を提供します」(堀切氏)

開発に使用する分析機器も市場調査を行い、顧客が多く使用しているモデルを採用。
野村化学はこれからも、抗体医薬をはじめとする先端創薬の現場に寄り添いながら、高品質なカラムの提供を通じて医療の進歩に貢献します。要望にすばやく応える柔軟性と、妥協のない品質へのこだわり。その企業姿勢を力強く後押しするのが、信頼できる「水」の存在です。
研究開発の基盤として活躍するエルガ・ラボウォーターの超純水製造装置は、野村化学の挑戦を確かな品質で支える存在です。

野村化学株式会社
代表取締役 社長
鶴見 拓人 様
取締役
堀切 智 様
取材・文 安藤 鞠(てまりラボ)

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