液体クロマトグラフィー

高速液体クロマトグラフィー(HPLC)やイオンクロマトグラフィーなどが含まれる液体クロマトグラフィーは分離手法です。 これは、混合物中の個々の成分を同定、定量化、精製するために使用されます。
液体クロマトグラフィー

分析化学における最も強力なツールの1つであるクロマトグラフィーは、ラボで最も一般的に見られる装置の1つです。 この手法の移動相は液体です。

高速液体クロマトグラフィー(HPLC)

現在は高速液体クロマトグラフィーとして知られている高圧液体クロマトグラフィーは、混合物中に存在する個々の化合物を同定、定量、分離、精製するために使用されるクロマトグラフィー手法です [1]。

高速液体クロマトグラフィーの仕組み

高速液体クロマトグラフィーでは、試料混合物が液体溶媒と一緒に固体吸着材料で充填されたカラムを高圧下で通過します。 システム内の圧力はポンプにより蓄積されます。 この動作原理は、混合物中の化合物がカラムの吸着材料とそれぞれ多少異なるかたちで相互作用するため、まず結果として異なる成分の流量の違いによりそれぞれが特徴付けられます。 これにより、カラムから流出する際に成分が分離されます。 通常、使用する吸着剤材料は粒状で、“固定相”を構成するシリカのような固体粒子から成ります。 加圧液体は、メタノールやアセトニトリルなどの有機液体と水の溶媒混合物です。これが“移動相」を構成します。

データ取得と分析のために、検出器がデジタルマイクロプロセッサーとユーザーソフトウェアに接続されています。 分離された化合物はピークとして可視化されます。ピークの数は混合物中で分離された成分の数に対応します。 ピークの面積は混合物中に存在する化合物の濃度に比例します [2]。 クロマトグラフの手法における2つのピーク間の分解能は、実験で物質が分離した度合いを示すものです。 分解能が高いほど、化合物の分離が良好であるという意味になります。

高速液体クロマトグラフィーの用途

高速液体クロマトグラフィーは、生化学、分析化学、調剤、法医学、食品研究などの分野で幅広い用途があります。 たとえば、 高速液体クロマトグラフィーはアスリートに使用が禁止されている物質の試験にも使用されています。

高速液体クロマトグラフィーを使用する理由

高速液体クロマトグラフィーは、価格が手頃で適応性があります。 データ管理や機器バリデーションなどにおいて便利なメリットがあります。

超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)

超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のバリエーションで、クロマトグラフの性能を向上させるために、これにはより小さな粒子が使用されます。そのため、より高い圧力が必要となります。 HPLCと同様に、水質汚染により結果に悪影響が及ぼされる可能性がありますが、UHPLCは感度が高いために、より極端な結果が生じる場合があります。

HPLCとUHPLCは両方ともに液体クロマトグラフィーとして使用することができますが、操作に必要な装置が異なり、それぞれ違ったメリットがあります。 カラム長が短いほど、UHPLCでは従来型のHPLCよりも優れた分離能が得られます。

 

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イオンクロマトグラフィー

イオンクロマトグラフィーを用いると、イオン交換媒体のカラムとの相互作用に基づいて、イオンと極性分子を分離することができます。 これは、巨大タンパク質、小ヌクレオチド、アミノ酸など、ほとんどの種類の荷電分子に使用することができます。 これは、無機陽イオン、有機陽イオン、陰イオンの測定に非常に広く使用されています。

水の影響

試薬水の品質により、試料や標準の調製からカラムの洗浄や溶出に至るまで、高速液体クロマトグラフィー分析のほぼすべての面に影響が及ぼされます。 したがって、高速液体クロマトグラフィーで水は最も消費される試薬です。

通常、盲検、標準、溶離液の調製と試料の前処理には純水(II型水)が使用されますが、グラジエントHPLC(勾配溶離高速液体クロマトグラフィー)では検出限界を極めて低くできるため、水の要件がより厳しく、最高の水質が必要となります。

高速液体クロマトグラフィーにおける性能問題の大部分は、HPLC溶離液、標準、および試料の調製で使用される水質が低いことに起因してます。 不良な水質や汚染水により、ゴーストピークの発生や固定相選択性の変化およびクロマトグラフ分離中の基線への影響により、分離能に影響が及ぼされます。

さらに、固定相に汚染物質が蓄積する可能性があり、これによりカラムの閉塞が発生する場合があります。 その結果、圧力が上昇し、試料の分析時間が変わります。 保持時間の変化、分離能の低下、ゴーストピークの発生などの品質不良のデータは、有機物、イオン、細菌、粒子状物質により発生した汚染の兆候と考えられます。

高速液体クロマトグラフィーの結果に影響を与える 水中のさまざまな汚染物質の種類

1. 有機物

超純水の有機汚染により、以下のようにクロマトグラフ分離にさまざまな影響がもたらされます。

(i) カラム寿命の短縮  - カラムの表面に結合する有機分子により、カラムビーズ(固定相)内の結合部位への試料と溶媒分子のアクセスが遅くなる可能性があります。 その結果として、カラムの化合物分離能力や分離能が低下し、カラム寿命が短くなります。

(ii) 感度の低下  - カラムビーズ(固定相)への結合において、溶離液中の有機分子が試料分子と競合する可能性があります。 これにより、カラムに結合する試料分子の数が減少し、その結果、溶出工程中に放出される分子の数が減少します。

(iii) 不正確なデータ  - 有機物により、カラムの上部に蓄積して後から溶出液として収集される汚染物質やゴーストピークが発生する場合があります。

(iv) 保持時間の変化  - 有機物のレベルが高い場合、カラム内に新たな固定相が生成される可能性があります。これにより、保持時間の変化とテーリングピークが発生する可能性があります。 また、これが背圧の増加につながる場合があります。

したがって、高速液体クロマトグラフィー用途に使用される水中の有機物レベルを正確に監視することが重要となります。 全有機炭素(TOC)とは、水中に存在する有機種の全量を炭素の量で示したものです。 TOCは、百万分率(ppm)または十億分率(ppb)の単位で測定されます。 ppbが高い有機物により、混合物内の微量成分のスペクトル同定が変化し、ピークの定量化に影響が及ぼされる可能性があります。

高速液体クロマトグラフィーのシステムは、多種多様なTOC源により汚染される可能性があります。 これには、水、精製媒体からの浸出、管や容器、細菌汚染、そして潜在的に大気からの吸収が含まれます。 実際のところ、現在では、精製されてから時間が経過している高純度のボトルウォーターの使用は避けることが推奨されています。 これは、ラボで(大気中の有機物に曝された状態で)8時間以上保管されている高速液体クロマトグラフィー用のボトルウォーターまたは蒸留水を使用すると、TOCレベルが上昇する傾向があるためです。

HPLC-Water-contamination-fig2

Fig 1: Comparison of the TOC levels in HPLC-grade water and Ultrapure water.
 

図1は、HPLCグレード水と超純水を使用して、254 nmと214 nmの波長で測定したクロマトグラム出力を比較したものです。 HPLCグレード水のほうは、カラムからの溶出によりTOCレベルが高く、これにより基線の変化が発生しています。また、超純水に比べて、サイズとピーク数が多くなっています [2]。

したがって、高速液体クロマトグラフィー分析には純水を使用すること、および水をあらゆる種類の汚染物質から保護することが重要となります。 クロマトグラフィーでは、有機溶媒と標準、および他の高速液体クロマトグラフィー移動相成分の純度を保証することに加えて、試薬水の品質が高く、これにいかなる汚染物質も含まれていないことを確認する必要があります。

2. 粒子とコロイド

試料水中に粒子やコロイドが存在すると、物理的にカラムが詰まるだけでなく、ポンプや注入器が損傷する可能性があります。 これが試料成分と結合して、カラム内で固相として作用する場合もあります。 コロイドはまた、カラム充填剤に不可逆的に吸着し、これにより試料成分のカラムへの結合が妨げられる可能性があります。

 

3. イオン

溶媒中にイオンが存在すると、クロマトグラフィーの分離に影響が及ぼされる可能性があります。 硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、臭化物、塩化物、フッ化物などの紫外線吸収イオンが存在すると、これらがカラムを透過してクロマトグラムのピークとして現れる可能性があるため、データの分析が困難になります。

高速液体クロマトグラフィー分析に影響を与えるさまざまな水質汚染物質の中でも、有機物は最も重要な水の純度決定要因となります。 蒸留水や高速液体クロマトグラフィー用のボトルウォーターなどの他の水源には、クロマトグラムの品質や装置の性能を低下させ得る有機物が比較的多く含まれているため、どのような場合も高速液体クロマトグラフィーには新たに生成した超純水を使用する必要があることが、実験的証拠により強く示されています(図1参照)。

したがって、高水準の純水製造システムを使用し、確実にシステム自体を適切に保全することが不可欠となります。

水測定

必ず用途に適した種類の水をお使いください。 以下は液体クロマトグラフィー用途の要件です。

  必要な感度 比抵抗値 
(MΩ.cm)*
TOC 
(ppb)
フィルター 
(µm)
細菌(CFU/ml) エンドトキシン(EU/ml) ヌクレアーゼ 水質等級
イオンクロマトグラフィー 一般高レベル

>5

18.2

<50

<10

<0.2

<0.2

<10

<1

NA

NA

NA

NA

一般 ラボグレード水

超純水(I型水)

HPLC 一般高レベル

>1

>18

<50

<3

<0.2

<0.2

<1

<1

NA

NA

NA

NA

一般 ラボ ラボグレード水

超純水(I型水)

 

ELGA Veoliaが高速液体クロマトグラフィー用の水純度の問題をどう解決できるか

現在、各手法向けに異なる純水製造システムを提供しており、それぞれに独自のメリットと限界があります。 純水製造システムに関して、長年にわたりELGAの専門知識は高い評価を得ています。 ELGAは水の純度を異なる等級に分類しています。これにより、特定用途に必要な水の純度レベルを判断することができます。 たとえば、PURELAB® Chorus 1分析研究システムにより、最大2 ppbという低TOCレベルで超純水(I型水)を供給することができます。これは、高速液体クロマトグラフィー実験に非常に適しています。 ELGAは、ユーザーフレンドリーでコスト効率が良く、低メンテナンスの純水製造システムを提供しています。

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まとめ

実験を成功させる上で、ラボ用試薬水として使用する水の純度が非常に重要となります。 高速液体クロマトグラフィーのような非常に高感度の技術には、非常に高純度の水が必要です。つまり、TOCレベルが最小に抑えられており、いかなる汚染物質も含まれていない水を使用する必要があるということです。 高速液体クロマトグラフィーの実験には、新たに生成した超純水を使用する必要があります。ELGAの広範な純水製造システムを利用することで、世界中の研究者は適切な純度の水を実験に使用できるようになります。

 

参考文献:

[1] イェーナ・A・クマール(Jena A Kumar)。HPLC: Highly Accessible Instrument in Pharmaceutical Industry for Effective Method Development(仮訳:HPLC:効果的な方法開発のための製薬業界における高度にアクセス可能な機器)。 Pharm Anal Acta 2012、3. doi:10.4172/2153-2435.1000147。

[2] マルビヤ・R(Malviya R)、バンサル・V(Bansal V)、プラカシュ・パル・O(Prakash Pal O)、クマール・シャルマ・P(Kumar Sharma P)。High performance liquid chromatography: A short review(仮訳:高速液体クロマトグラフィー:短評論)。 J Glob Pharma Technol 2010、2:22–6。

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